青空文庫(電子書籍で無料で読めるもの)に芥川龍之介の「地獄変」というものがありました。
芥川龍之介の小説は一度も読んだことがなく、題名に引かれてダウンロードして読んでみました。
読んだ感想として、私個人としては、何かもやもやする作品でした。
しかし、感性の高い人には心に来るものがあるのかもしれません。
芥川龍之介の略歴
- 1892年〈明治25年〉3月1日 生まれ
- 1927年〈昭和2年〉7月24日没
- 東京都出身。
- 代表作 「鼻」、「羅生門」、「地獄変」、「歯車」
- 号は澄江堂主人(ちょうこうどうしゅじん)、俳号は我鬼(がき)。
主な登場人物
- 良秀:当代随一の絵師。傲慢で愛嬌もなく意地の悪そうな老人。立ち居振る舞いが貧相で猿のようだと言われており、「猿秀」とあだ名がつけられている。娘を大切にしているが、創作が始まると、その娘のことも忘れ没頭する。
- 大殿様:当時の権力者。良秀に「地獄変」の作成を依頼する。
- 良秀の一人娘:大殿様のもとで奉公をしている。父に似ず愛嬌や思いやりがあり、誰からも好かれている。
私の感想(まとめ)
良秀が大殿様の依頼で「地獄変」の屏風を書き上げる物語です。
「地獄変」とは地獄の様子を描いたものです。
この物語は芸術家が作品を作り上げるときに、どれほどの狂気を持っているのかを表しているのかと思います。
はっきりとした結論は書かれておらず、読者に考えさせる構成になっていると思います。
個人的にはなんとなく「もやもや」します。このもやもやを上手く言葉で表せないのですが、同時に強い印象が残りました。
私は芥川龍之介の作品を初めて読みました。ですので、この物語が芥川龍之介の作風を色濃く表しているのか、それとも異質な作品なのかわかりません。
物語は1章が1ページ+数行で全20章になっています。
下の「物語の途中までの大筋(ネタバレ)」では16章までの概略を記載してあります。
少し時間があり、興味がある方は、30分程度で読めると思いますので、電子書籍の青空文庫で読んでみてください。
物語の途中までの大筋(ネタバレ)
良秀について
良秀は当代随一の絵師ですが、傲慢なところがあり、また、立ち居振る舞いが貧相で多くの人にバカにされているか嫌われていました。
猿の「良秀」
ある時、大殿家の若殿様に「猿」が献上されました。若殿様は、猿秀とあだ名されている良秀のことを思い浮かべ、この猿に「良秀」という名前をつけ、家の中で虐めていました。
良秀の一人娘
この大殿家には良秀の一人娘も奉公に上がっていました。利口な娘で父の良秀や猿の「良秀」がバカにされたり虐められているのを快く思っていませんでしたが、そのことには触れずに真面目に奉公をしていました。
ある日、この娘が廊下を歩いていると、猿の「良秀」が若殿様に追いかけられ、娘の足元にすがりつき、助けを求めました。
あまりにも可哀想で、思い切って、追ってきた若殿様に、この「良秀」をこれ以上虐めないように懇願しました。
あまりにも必死で懇願することから、若殿様も虐めることをやめました。
それから猿の「良秀」は四六時中、娘から離れることが無くなりました。
この娘はもともと愛嬌もあり、猿に対する思いやりの深さも家中で知れ渡り、家中で愛されるようになりました。
良秀の創作活動と娘への愛情
一方、父の良秀です。この人は、実物を見ないと絵がかけない人でした。
かつて大火事があったとき、その火事場で焼け死んだ人々を写生したりしていました。
同時に娘に対する愛情は厚く、かつて別の大作を仕上げて大殿様に献上したとき、大殿様に褒美を聞かれた際には、自分の娘を奉公から開放してほしいと懇願しました。
大殿様は、それに答えることはありませんでした。(これが、大殿様が娘を手放したくないのか、良秀のもとで娘が育つことが、娘の幸せに繋がらないと考えて答えなかったのか真相はわかりません)
これほど娘を溺愛している良秀ですが、「地獄変」の創作を始めると、娘のことも頭から離れ創作に打ち込みました。
鎖に繋がれた人間を描くときには、弟子を鎖できつくつなぎ、人間が怪鳥に襲われている姿を描きたいときは、「みみずく」という鳥に弟子を襲わせ、その姿を写生したりしていました。
そのようにして「地獄変」の創作を続けていましたが、良秀の筆もだんだん鈍ってきます。寝ている時にうなされることもしばしば、そんな中、どうしても描きたいものがありましたが、それを見たことがありませんでした。
大殿家でのある夜のできごと
大殿家にて、ある夜中に手代のものが、廊下を歩いていると物音と小さな叫び声が聞こえました。
そして猿の「良秀」がこの手代をある部屋まで導きました。
手代が部屋の様子を伺おうとしたとき、誤って手代が物音を立ててしまったため、奥に居る何者かが逃げてしまいました。
同時に部屋の奥からは涙目の、衣服が乱れている良秀の一人娘が現れました。
誰が娘を襲ったのか、それは襲った本人と娘しかわかりません。
良秀の懇願
良秀は「地獄変」の創作に完全に行き詰まりました。
火の付いた車(牛車)の中でもがき苦しむ女性を描かなければ「地獄変」は完成しません。
しかし良秀はその様子をみたことがありません。
良秀は火に包まれた車の中で、もがき苦しむ女性を見たいと大殿様に懇願します・・・
・・・・続きは本編をご覧ください(電子書籍の青空文庫で地獄変と検索するとダウンロードできます)・・・
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